深い氷床試料では中の空気の圧力は10にも15気圧にもなり、この氷試料を水に入れると、パチッと音をたてて破裂する。ともかく雪が解けることなく氷に変容し、その氷もその後解けることがなかったとすると、その氷自体は降水の化石であり、その氷中の空気は古い時代の空気である。
そんな氷試料がグリーンランドや南極で採取できるのである。氷の年齢は同位元素などで決めることができる。

また雪が形成されたときの大気の温度は氷の水素や酸素の安定同位元素比の測定値から推定できる。水素には原子量1と2の放射能をもたない、すなわちAとBの安定同位元素がある。
また酸素には原子量16と18の、すなわちCとCの安定同位元素がある。氷試料中のA、BまたはC、Cの比からその氷の源の雪ができたときの大気温度が推定できる。
一方、氷試料からは空気を取り出してその空気中の二酸化炭素などの濃度の測定が可能である。くり返すが、氷試料はかって解けて再び形成されたものでは困る。
このような測定を南極の氷試料について行った結果、産業革命以前の地球大気中の二酸化炭素濃度は280ppmであることが明らかにされた。ちなみに現在の値は350ppmほどである。
氷床コアの分析から最終氷期の寒かったころ(約1・8万年前)から後氷期(1・1万年前)にかけて大気中の二酸化炭素濃度は200ppmから300ppmほどに増加したという報告がなされている。氷床コアの上記のような分析結果から、大気中の二酸化炭素濃度が高かったときには大気は高温であり、低濃度のときは低温であったこと、つまり大気中の二酸化炭素濃度と気温との間には正相関のあることが明らかになった。
ただ、だからといって大気中で二酸化炭素が増加したから気温が上昇したとは言いきれない。というのは、大気中の二酸化炭素濃度が大きくなったので気温が上がったのか、それとも高温になったので大気中の二酸化炭素濃度が高くなったのかの判断が難しいからである。

ありそうなことは、氷期と間氷期の交代自体は、二酸化炭素などの温室効果ガス以外の要因、たとえば地球の軌道要素の変化による日射量の変化、氷床の発達・衰退などで決められ、一方で生物界の変化や海流の変化のゆれが拡大したのであろうと言われている。大気中の温室効果ガス濃度が増加すれば気温が上昇すること、すなわち温室効果の理屈は正しい。
大気中の温室効果ガス濃度が増加してきていることも確かである。ただ気温を規制する因子は数多くあり、温室効果ガスのみで決められるものでないことは言うまでもない。
それでも世界中が真剣に心配していることは事実である。ほとんどすべての物質を集めて太陽ができ、ほんのわずかの残りの物質から太陽の周りをまわる地球をはじめ9つの惑星が形成された。

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